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放熱の破片  vol.42

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黒田雅之のパンチには、たまらぬ色気があります。 
 

2009年4月7日後楽園ホールで開催された『花形スペシャルファイト&ホープフルファイトvol.4』は、なかなか魅力のあるマッチメークが多く、楽しみにしていました。
なにより、黒田君の、一撃で相手を仕留める緊張感あるパンチを見る事が出来るのかと思うと、たまらぬ高鳴りを抱えながら後楽園に向かいました。

 
 

前座バンタム級(53.5kg)6回戦に、片桐秋彦くん(新田)が登場。
昨年の東日本新人王決勝戦で、同門新田ジムの古橋大輔くんと対戦し、判定で敗れ、この日が復活の試合。

 
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長いリーチを生かして、ストレート主体の試合をすれば危なげないように思えましたが、気が強いのか自分から距離を潰して打ち合いにいってしまう事があり、試合序盤には危険なパンチをもらって明白なダメージを受けました。
それ以後は盛り返し、判定で勝利。
 
打ちにいきたくなる気持ちは良くわかりますが、我慢して、自分の距離を作り出せるようになれば、これから先の相手とも、もっと楽に戦えるでしょう。
 
何はともあれ、再起おめでとう!
 
 
 
片桐君の次は、松島利也子さん(新田ジム)が登場。
一方的に攻められ、3RTKO負け。
決定的なダメージは受けていないかもしれませんが、あの流れの中で逆転する事は難しかった。
レフェリーの判断は的確だったと思います。
 
  

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バンタム級(53.5kg)8回戦、片桐君との同門対決を制し、2008年度全日本新人王 (技能賞)に輝いた日本バンタム級12位 古橋大輔(新田ジム)くんが、3年ぶりのリングとなるベテラン立木正祥(花形)と対戦。
古橋君の試合運びには素晴らしい輝きを感じますが、ブランクがあるとはいえ、試合巧者の立木選手との対戦は、危険も感じました。
試合は、立木選手が前半にポイントを奪います。
しかし、後半戦になるとみるみるガス欠になる立木選手。
7ラウンドには、立木選手はヘッドバッティングで減点。
最終ラウンドは、立木選手のクリンチ、というよりあまりに露骨なホールディングでダラダラと時間を費やし試合終了のゴング。
 
1-2の判定で古橋くんの判定負け。
 
しかし、あのホールディングは何故減点されないのだろうか?
レフェリーが反則ではないという判断をした訳ですから、仕方がないと言う事でしょう。
実に後味の悪い試合でした。
 
前半、ペースを掴めなかった古橋くんにとっては、先輩である片桐くんに続きたかったところでしょう。
痛い経験ですが、この経験を糧として、もっともっと強くなる可能性を感じるボクサーです。

 
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メインイベント8回戦、日本Lフライ級(48.9kg)8位 黒田雅之くん(新田ジム) は、1ラウンド、左ジャブを出しながら様子をみます。 
 
 
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少しずつプレッシャーをかけながら、相手がパンチの届く距離にいる事を見極めたのか、2ラウンドには圧力を強め、左フックで追いつめると、チャンスを逃さず一気に倒しにかかります。
 
この時見せた、攻撃の圧倒的な迫力は、背筋に電流が走ります。
 
相手は崩れ落ち、見事2RTKO勝利。
 
13勝(10KO)3敗と、ライトフライ級では破格のKOパンチャー黒田くん。
ライトフライ級近辺の階級も含めてみても、これだけ魅力的なパンチャーは思い浮かびません。
まだ試合運びがうまい訳ではありませんが、頂上に登り詰める可能性を大いに感じさせてくれる選手です。

 
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放熱の破片 vol.32 
 

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Profile

山口裕朗(やまぐちひろあき)
1999年プロボクサーとして17戦10勝(6KO)7敗の戦績を残し引退後、2002年 「サンデー毎日」で写真家としてデビュー。
2005年 ボクシング引退後、撮り続けている、かつての対戦 相手達の写真を、写真展『放熱の破片(かけら)』で発表。
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