東日本新人王予選4回戦、スーパーバンタム級の向山太尊(ハッピーボックス)は、3勝(3KO)1敗で現在3連続1ラウンドKO勝利中。
奈良井翼(RK蒲田)は、1勝(1KO)。
KO決着必至のカード。
静かに出番を待つボクサーの姿に何かを感じ、レンズを向けさせてもらった。
試合を待つまでの長く短い時間は、世界チャンピオンも名も無いグリーンボーイも一緒。
他人事としてその時間を傍観できる今の私には、心地よい緊張の時間。
試合開始のゴングが鳴ると、奈良井は勢いよくコーナーを飛び出し、サウスポーの向山に襲いかかる。
空間を奪い合う駆け引きを全て捨て、倒すためだけにパンチを振るい続ける。
赤コーナー前で左フックが命中して最初のダウンを奪う。
ダメージの残る向山も懸命にパンチを返すが奈良井の怒濤の攻撃を止めることはできず、2度目のダウンでレフェリーが試合をストップした。
「(距離をとって駆け引きする)ボクシングをしちゃったら勝てないかもしれないと思ったんで、1ラウンドからプレスをかけるように作戦をたてていたんですけど、はまりましたね。」
試合に向けて、選手と同じ時間を過ごしてきた人間にしか味わえない喜びをあらわにする柳光会長。
ハードな練習で積み上げた自信と、作戦を実行する勇気がないと、最初から攻める事はできない。
この夜の奈良井くんは、見事にそれを見せてくれた。
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