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放熱の破片  vol.26

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昨夜の日本ウェルター級(66.6kg)タイトルマッチは、素晴らしい殴り合いでした。
 

 
チャンピオン沼田康司くん(トクホン真闘)に挑戦するのは、元東洋太平洋ウェルター級チャンピオンの山口裕司くん(JBスポーツ)。
 
この二人の実力とファイトスタイルを考えれば、好ファイトになる事は間違いない一戦とあって、立見席もたくさんの観客が埋めていました。
 
リングサイドの席は、選手の知人や後援者の方々でいっぱいですが、後方の天井桟敷の入り具合を見れば、対戦カード次第で観戦を決めるボクシングファンが、いかに注目しているのかがわかるというものです。

 
山口くんは、気迫をに満ちた、決意を感じさせる力強い眼差しで登場。
沼田くんは、いつものように静かな青白いオーラを身に纏っています。
 
試合前のこの表情をみるだけで、凄い試合になるだろうと直感しました。

  
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そして、戦いが始まると、両者とも攻めに出るんです。

山口くんがスピードあるコンビネーションを惜しげもなく打ち込めば、しっかりとガードしながら強い左右のフック・アッパーを沼田くんは返し、一進一退、先が読めないスリリングな攻防にホールは沸き上がります。 
 

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ボクシングの魅力の大きな一つは、スリリングなパンチとパンチの交換ではないかと僕は思うんです。

頭から突進して揉み合う展開になると、戦っている選手の応援をしている人達以外、大いに盛り下がる。初めてボクシングを観にきてそんな試合にあたってしまったら、二度とチケットを買ってまで観にきてくれなくなるのではないか・・・。
 
 

両者ともに譲らず、第5ラウンド後半になると、山口くんの動きが少し鈍くなってきたように見えました。
沼田くんの固そうなパンチをくらううちに、ダメージが蓄積していったのではないでしょうか。
 
第6ラウンド、沼田くんはチャンスを見逃しません。
左右フックで山口くんをロープ際に追い込み、ダウンを奪います。


ダメージが明白な山口くんは、襲いかかる沼田くんに果敢にパンチを打ち返しますが、再びダウン。
 

懸命に立ち上がるその目に力はなくなっていました。

 

沼田くんは一気に攻め、レフェリーが割って入り激闘の終わりを告げました。 
 
 
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なんと壮絶な戦いだったのだろうか・・・。

 
 

沼田くんは、もっともっと強くなるボクサーです。
ウェルター級という階級で、世界タイトルをつかみ取るように思えてなりません。
 
 
山口くんも、這い上がってきて、その戦いぶりをまた見せてほしい。


 
 
両者にありがとう。

 
 
 
 
しかし、こんな凄い試合にテレビ放送がないというのはとても寂しい限りです。
こういう試合をもっともっとたくさんの人に観てもらいたい。
 
 
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Profile

山口裕朗(やまぐちひろあき)
1999年プロボクサーとして17戦10勝(6KO)7敗の戦績を残し引退後、2002年 「サンデー毎日」で写真家としてデビュー。
2005年 ボクシング引退後、撮り続けている、かつての対戦 相手達の写真を、写真展『放熱の破片(かけら)』で発表。
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