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放熱の破片  vol.44

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何故、彼はリングに戻って来たのだろうか・・・
 

先日、東日本ボクシング協会のサイトで試合情報を見ていると、知った名前がありました。


しかし、所属ジムが変わっていたし、それに彼は7年くらい前に引退したはずではなかったろうか・・・。
 
その後輩の顔を思い浮かべてみました。
 
 

僕がラストファイトを向かえる頃、彼は大学生で、プロテストを控えていた時期でした。
 
一度だけスパーリングをした事があったのですが、類い稀なるスピードがあり、身体能力の高さを感じました。

 
引退してから写真学校に入り、後輩達の姿を撮らせてもらう中に、彼、ユウジの姿もありました。
 

4回戦としては、ずば抜けた身体能力を持っていたはずのユウジは、しかし、2勝以上は中々勝てず、負け越したままリングを去っていきました。
 

しばらくして、OBを交えて後輩達とご飯を食べに行ったのですが、ユウジもそこに来ていました。
大学卒業後は就職し、家庭を持ったと話していたのに、何故・・・。
 
 
 
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後楽園ホールに行き、控室を覗くと、そこにいたのは間違いなく彼でした。

 
少しだけ話を聞く事が出来たのですが、何をどう書いてよいものか、私事もあるので書きませんが、しかし、聞いた話だけでは、カンバックする動機としては、どうもしっくりこない。

 
 
この夜、7年ぶりに勝利したユウジは、心からの笑みを浮かべていました。
 
 
 
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ユウジよ、ボクシングはダラダラと続けちゃいかんぜ。

リングで味わう異常な熱狂は、日常では味わう事が出来ないけれど、リングの麻薬に痺れていると、体は消耗していく。
 
 

君がリングに上がり続ける間は、写真を撮りに行くから、目的が達成出来たら、笑いながら酒でも呑みに行こう。

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Profile

山口裕朗(やまぐちひろあき)
1999年プロボクサーとして17戦10勝(6KO)7敗の戦績を残し引退後、2002年 「サンデー毎日」で写真家としてデビュー。
2005年 ボクシング引退後、撮り続けている、かつての対戦 相手達の写真を、写真展『放熱の破片(かけら)』で発表。
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