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東北山行 番外編 熊はすぐそばにいるかもしれない

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銀座ニコンサロンで現在開催中の「となりのツキノワグマ」の作者、動物報道写真家の宮崎学さんのフォトセミナーが昨日あり、参加させて頂きました。
 
高度経済成長期に国策として伐採された山林は、40年の時を経て大きく姿を変えました。
人間が手を入れなくなった山は、動物達にとって餌の豊富な山へと変わったという。
広く大きな視点で山の動植物を観察し続けてきた宮崎さんの写真とお言葉は、とても説得力があった。
 
ツキノワグマは、滅多な事では姿を人目にさらす事がないのですが、長野県伊那の山中に作られた遊歩道に宮崎さんが設置した無人カメラが捉えた写真には、ハイカー・子供が通る写真に続いてまんまとツキノワグマが写っている。
人間の活動している時間にも、熊はそこを歩いていたんです。

ツキノワグマは積極的に人を襲う性質では無いようですが、運悪く接触してしまえば、あの鋭い爪と牙に痛めつけられるでしょう。

 
僕は東北に通い、マタギを撮影させてもらっていて、やはり山には餌が豊富にあるなと感じています。
昨年秋の熊の大量出没も、山に餌が無いから人里に下りてきたのではなく、頭数が増えて山を追いやられた熊が人里にはみ出してきたのではないかと考えています。
 
それでも、狩猟の文化がある秋田の山村では、熊は人が怖いと知っているのか、大胆な行動には出ていません。
 
 
これまで生態について謎が多かったツキノワグマが、宮崎学さんの写真を通して知る事が出来ます。
熊は可愛い動物かもしれませんが、そこに住む人達にとって、子供を通学させる道を熊が横断しているなんて恐ろしいことでしょう。
 

都会に住む我々には関係がないと思うかもしれませんが、奥多摩にも丹沢にも、都心近郊の山にもツキノワグマは住んでいて、家族でハイキングに行ってひょっこり会えるかもしれません。 
 
 
 
となりのツキノワグマ

 
宮崎学さん ツキノワグマ事件簿
http://tukinowaguma.net/
 
 
 
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Profile

山口裕朗(やまぐちひろあき)
1999年プロボクサーとして17戦10勝(6KO)7敗の戦績を残し引退後、2002年 「サンデー毎日」で写真家としてデビュー。
2005年 ボクシング引退後、撮り続けている、かつての対戦 相手達の写真を、写真展『放熱の破片(かけら)』で発表。
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