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水道管の中のオルフェウス vol.3

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お金の悩みは常につきまとう。
始まりが、私の思いつきであるこの自主制作作品に、スポンサーなどいるわけもなく、極力低予算で作らなければ、自分の懐が寒くなるだけである。

この作品を作る上で大体どの位の予算が必要なのか・・・。

まずは、撮影機材を何にするかを考えた。
編集の事を考えるとデジタルカメラがよいだろう、その為にも高画素で35mmのカメラと同じ感覚で撮れるカメラが必要と感じ、慣れ親しんできたニコンのカメラではなく、キヤノンの5Dとレンズ一式を購入した。
後に仕事で使用出来るにしても、機材を購入する時点で大きな出費を余儀なくされたのはたしかだった。
あとは、完成した作品を発表するスペースの使用料・セリフや音楽のレコーディング・お手伝いして下さる方々への交通費・・・。
それ以外にどんな費用がかかるのか想像出来なかったし、相場も把握出来なかった。
自分の生活を破綻させてしまぬよう予算を決め、大きな出費は抑えるよう心がけ作るしかない。

種々の戸惑いを抱えながら、クランクインを迎えた。
第一回目の撮影は、2006年1月15日、五反田にあるワタナベボクシングジムをお借りしてロケでは撮れないカットを撮ることになった。
ワタナベジムは鳥海さんの所属するジムで、撮影用のスペースをお借り出来ないかと申し入れると、渡辺均会長からは、「鳥海のこと、どんどんアピールしてやって。」と、快くお許しを頂いた。

黒のバックペーパーを設営し、鳥海さんと真奈美さんを撮影した。
撮影になり集中力が高まると、余計な事が頭から消え去り汗が噴き出してくる。
ファインダーを覗き、自分が求めていたイメージがそこにあると、たまらぬ興奮に包まれる。この瞬間があるから、写真は病み付きになる。
この二人に出演してもらえて、本当によかった。

撮影の合間に、マスターがシナリオにあるイメージを2人の出演者に伝え、演出をしてくれる。マスターと私とは頻繁に話し合い、十分イメージの確認がとれているから、マスターに任せてしまえる事が心強い。
勿論、私にない引き出しを沢山持っているマスターの味付けがなければ、深みは出てこないだろう。

出演者に不足はない、シナリオ・演出と、頼れるパートナーもいる。

素晴らしい作品が出来る。
撮影初日で、大きな確信を持った。

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Profile

山口裕朗(やまぐちひろあき)
1999年プロボクサーとして17戦10勝(6KO)7敗の戦績を残し引退後、2002年 「サンデー毎日」で写真家としてデビュー。
2005年 ボクシング引退後、撮り続けている、かつての対戦 相手達の写真を、写真展『放熱の破片(かけら)』で発表。
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