放熱の破片 vol.11
日本・東洋太平洋スーパーフェザー級(58.9kg)の2冠をかけたタイトルマッチが19日にありました。
チャンピオンの小堀佑介君(角海老宝石)は、昨年1月に真鍋圭太君を豪快にKOして日本タイトルを獲得してから、3度防衛、試合ごとに強くなっていくのが見てわかる好ファイターです。
挑戦者の村上潤二君(八王子中屋)とは、一昨年の夏に開催された、イケメンボクサーを集めた大会『DAVID(ダビデ)』のポスターを撮影させて頂いた時に初めてお会いしたのですが。口数の多くない物静かな男で、不思議と色気を感じさせるボクサーだなという印象をうけました。
強い弱いに関係なく、絵になるボクサーとそうでないボクサーと、ファインダー越しに感じます。
村上君は明らかに前者でした。
派手なボクシングをする訳ではないけど、着実にキャリアを重ねた技巧派です。
試合開始から、村上君がヒットアンドアウェーでペースを握ります。
しかし、2Rに小堀君の強打が炸裂し、2度のダウンを奪い、5Rにもダウンを追加、7Rに4度目のダウンを奪います。
ダメージが明白な村上君はそれでもロープにしがみつき、必死に立ち上がるんです。
そのうつろな眼差しは、僕の胸の深淵に響いてしまいました。
立ち上がり、ファイティングポーズをとった村上君に小堀君が襲いかかりラッシュをかけると、ダメージの深さを見てとったレフェリーが割って入り、チャンピオンが4度目の防衛を果たしました。
ロープをくぐってリングに入った中屋会長が村上君を抱きかかえながらコーナーに連れていき、呆然とする彼の額に自らの額を合わせました。
中屋会長の愛情を感じてとれる光景でした。
ペースをつかめない中からKO防衛をしてみせた小堀君は、本当に素晴らしいチャンピオンです。
でも、 この夜に僕がやられてしまったのは、村上君、そして、中屋会長の2人の姿でした。
八王子中屋ボクシングジム
http://www.8nakaya.com/