放熱の破片 vol.13
彼の勇姿を撮るのは最後です・・・。
元日本ライト級1位、僕のラストファイトの相手 田中光吉の引退式が、7月12日に後楽園ホールでありました。
奇しくも7月12日は僕の誕生した日であり、その日に光吉君がリングとの決別を向かえる、それは偶然とはいえ、不思議な縁を感じずにはいられません。
満身創痍の体で3度日本タイトルマッチを戦い、惜しくも1度引分け、2度惨敗と、あと一歩のところでベルトに手が届かなかった光吉君でしたが、肉体的にぼろぼろになるまで戦い続ける事の出来なかった僕にすれば、彼のボクサー人生に尊敬の念を抱いています。
一昨年(2005年)は、僕に引退を決意させたキンジ天野君・ラストファイトを戦った田中光吉君、二人が公式戦を戦った最後の年であり、2人の最後の試合からほどなく、『放熱の破片(かけら)』という写真展を開催しました。
その写真展は、キンジ君と光吉君の二人を撮影させてもらっていたものを発表したのですが、写真展自体は春前から決まっていて、まさか、そのタイミングに二人がリングを去るなどとは思いもよらないことでした。
そして、どうした訳かその頃から、リングで戦うボクサー達へのジェラシーが、僕の中で不思議と消えていったんですね。
2005年は、僕とボクシングとのつき合い方に、大きな変化をもたらした年でした。
僕と同い年のその2人とも、今年、正式に引退式をし、リングと決別の節目を向かえる、
もう、後楽園ホールで美しいシャドーボクシングをする彼の姿を撮影するのは最後です。
光吉君は、先日五反田に居酒屋をオープンし、新しい第一歩を踏み出しました。
33歳の元ボクサーが、これからどう生きていくのか、僕は、撮り続けていきます。
何十年か経った日に、互いに笑いながらそんな写真を見る時がくるんじゃないかな・・・。
光吉君、11年のプロ生活、本当お疲れさま。
君の存在が、僕の中でどれほど大きなものかは伝えようがないけれど、君と戦えた事を誇りに思ってます。
これからもよろしくね!
居酒屋 くらんど
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光吉君のこと
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19日・20日、くらんどでお手伝いしています。
お時間ある方は、是非遊びに来て下さいね。