放熱の破片 vol.20
昨夜は、ホープフルファイトが後楽園ホールで開催され、8回戦3試合に、僕のいたボクシングジムの先輩、新田渉世さんのジムの選手が出場しました。
セミファイナルの岳たかはし君は、昨年度の全日本新人王。
トリッキーな動きで相手を翻弄するのですが、パンチを完全に見切れているとは思えない時にノーガードになり、ひやりとします。
とはいえ、試合は完全に岳君のペースで、4ラウンドに相手が効いた瞬間を逃さず連打し、TKOしました。
チャンスを見逃さずに勝負をかけてストップを呼び込むのは、簡単な事ではありません。
お見事でした。
メインイベントには、一昨年の全日本新人王MVP黒田雅之君が登場。
試合の流れは支配しているのですが、ガッツとスタミナで前進をやめない相手に手こずり、8ラウンド判定勝利でした。
黒田君は、“ゾクッ”とするようなタイミングで鋭いカウンターを打ち抜くパンチャーで、その姿は、居合いの達人とはこういう人なのだろうと思わせるんです。
左のリードブローとそれに続くまっすぐに伸びる右のパンチを軸に戦えれば、距離を支配出来るのですから、得意の左フックのカウンターも自然と当たるようになって、この夜もKO出来たのではないかと感じました。
これからキャリアを積むうちに、もの凄いボクサーになるのだろうと、わくわくさせてくれる数少ないボクサーです。
新田ジムの長男坊的存在 西 禄朋君は、2ラウンドに痛烈なパンチを食らいTKO負けを喫しました。
ボクシングワールドのコラムで新田さんが書いているように、新田さんにとって思い入れのある選手の一人。
その彼がダウンし、タオルを投げ込んだ新田さんの気持ちはどれほどの思いだったのだろうか・・・。
あの深いダメージでは、タオルを投げても投げなくても、勝ち目の無い状態、レフェリーも続行は許さなかったでしょう。
元ボクサーだった新田さんにすれば、タオルを投げられたくない選手の気持ちは痛い程わかるはずです。
それでも英断を下したその心中は、大きな肉体的ダメージを残さずにリングを下りれれば、すぐに次に向けて動き出せる、西くんに対しての期待の大きさだったんじゃないか、そんな風に感じます。
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連載コラム「ショーセイの リング人生道場」
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