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放熱の破片  vol.23

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幼い頃から戦いの中に身を浸してきた誇り高き微笑みの戦士 クマントーンは、試合終了のゴングが鳴り響くまで、勇敢に戦い続けました。
 

 
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22日、後楽園ホールのメインイベントのリングには、元東洋太平洋バンタム級チャンピオンのクマントーン・チューワッタナと宮 将来(ヨネクラ)が立っていました。
 

怪我の治療で一年以上のブランクをつくった宮は再起戦、クマントーンは、勝ったり負けたりを繰り返しながら、コンスタントに試合を重ねていました。
 
リングに立たなければ、収入が断たれる彼らタイ人ボクサーは、ブランクをつくる事は、家族の生活を支える事が出来なくなってしまうかもしれないんです。
 
 
2001年、クマントーンのいるチューワッタナジムの合宿所に住み込んで、ムエタイ戦士達の写真を撮っていました。
クマントーンと弟のウェート(現WBCスーパーバンタム級7位)は、いつもニコニコしていて、とても穏やかで優しい男達でした。
 
ジムに沢山いる選手達の中でも、一際クマントーンの筋肉にはフォトジェニックな輝きを感じ、当サイト内Galleryの『ムエタイジム』でも、クマントーンの写真は度々掲載させて頂いています。


いつもニコニコとしているクマントーンですが、リングに上がると表情を変えず、不思議なオーラを身にまといます。
 
なんというのか、動じない男を感じるんです。
 
適当な頃合いでリングに手をついてしまう外国人選手が少なくない中、クマントーンは戦士の誇りを胸に、目の前にある戦いから逃げない。

 
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この夜もいつものようにパンチをうまくかわしながら、相手の打ち終わりにパンチを返すボクシングをします。
もっと圧力を強めて相手を下がらせれば、流れは完全にクマントーンのモノになったかもしれませんが、前に出る宮選手がクマントーンを下がらせている感じに見え、ポイントの取り方がもったいないように感じました。
 
試合終了のゴングが鳴り、宮選手の手が上がりました。

タイの選手達は、試合が終わると、しばらくの間バンコクを離れ家族の待つ家へと帰り、ファイトマネーを家族に渡してくるんです。
今頃クマントーンも家族のもとで、穏やかな時間を過ごしている事と思います。

今年35歳になるクマントーンは、いつまで戦い続けるのだろうか・・・。
 
 
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Profile

山口裕朗(やまぐちひろあき)
1999年プロボクサーとして17戦10勝(6KO)7敗の戦績を残し引退後、2002年 「サンデー毎日」で写真家としてデビュー。
2005年 ボクシング引退後、撮り続けている、かつての対戦 相手達の写真を、写真展『放熱の破片(かけら)』で発表。
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