放熱の破片 vol.38
“スピードキング“は、スピードだけではない事を存分に見せてくれました。
2009年1月3日 WBC世界スーパーバンタム級(55.3kg)タイトルマッチの初防衛戦に臨んだのは、“スピードキング”西岡利晃選手。
挑戦者は、2006年に長谷川穂積さんの持つWBCバンタム級(53.5kg)タイトルに挑戦し、2度のダウンを喫して敗れた同級7位ヘナロ・ガルシア(メキシコ)選手。
ガルシア選手が粘り強さが身上のファイターである事は、長谷川戦で承知の通り、西岡さんは第1ラウンドからサイドに動き、相手の突進を交わしながらも、効果的な左ストレート・左アッパーを冷静に叩き込んで行きます。
挑戦者は、どれだけ被弾し、ダメージがあっても前進を止めません。
西岡さんは、12ラウンドにパンチをまとめて、レフェリーが試合を止めました.
素晴らしい!
おめでとう!!
4度の世界挑戦失敗、左足アキレス腱断裂を乗り越えて、タイトルを手にした西岡さんの戦いっぷりは、以前は華麗でカッコいいボクシング、そう感じていました。それが、5度目の挑戦を目指して再起してきてから変わった気がするんです。
見ている者を引き込む、感情を感じさせる戦い方になっているような気がしました。
それは、昔以上のがむしゃらさというか、必死さが伝わってくるというのでしょうか。
また、次の防衛戦でのファイトが楽しみです。
WBA世界ライト級(61.2kg)タイトルマッチは、チャンピオン小堀佑介くんが、無敗のチャレンジャーで、トップコンテンダー パウルス・モーゼス(ナミビア)選手を迎えての初防衛戦。
前半からハイペースで打撃戦を挑み、チャンスもあったのですが、後半、足を使って距離を作り出した挑戦者を追いきれずに判定で王座を明け渡しました。
この日の小堀くんの度胸あるファイトは、見ていて実に気持ちが良かった。
王者らしく堂々と戦い、敗れました。
また、リングで小堀くんの戦いが見たい。