放熱の破片 vol.36
林 孝亮(はやし こうすけ)というボクサーがいた事を、知っていますか。
林くんは、名古屋の緑ジム所属のボクサーだったので、東京ではあまり馴染みがないかもしれませんが、3度後楽園ホールのリングに上がっています。
ご縁があり、林くんの試合を2度ほど撮影させて頂いた事があります。
初めて会った時の印象は、とても純粋そうでまっすぐな意志を持った好青年。
無敗のまま、2006年度の全日本新人王を獲得し、その後も勝ち続け、ランキングをあげていました。
そして、今年2008年3月に、日本バンタム級1位の丸山大輔(筑豊)を7ラウンドTKOで沈める殊勲をあげ、これからが期待された矢先でした。
網膜剥離。
15戦全勝7KO 22歳
あまりに早すぎる、そして、やりきれない引退。
林くんの後援者の方からお電話を頂き、それを聞かされた時は一瞬言葉を失いました。
正当派のボクサーファイターで、勝利への強い執着を感じさせるファイトが、見ている人の心を掴む選手でした。
トップコンテンダーを倒し、タイトル挑戦に弾みがついたと思った矢先に引退とは、言葉に出来ない・・・。
現在、埼玉県で働いている林くんと、先日会う機会がありました。
手術が大変だった事、気持ちを切り替えて次の人生の目標を手探りで探っている事。
日本ではリングに戻れないという、どうしようもない現実を突きつけられた苦悩は、カラッと明るく話すその口ぶりからは感じとれません。
時間が中和してくれているのでしょう。
「何でもいいから、社長になりたいんです。」
少しふっくらした林くんは言いました。
その明るさで、新しい道でも人の心を掴んで、なんでもいいから社長になれ!!
応援してるよ!